いい石の日

今日はいい石の日らしい。

タイミングよく先日石拾いに行ったので、その時のことを書く。

 

2020/11/12

久しぶりに石拾いに行った。

久しぶりと言っても、私の直近の石拾いは、兄の結婚式で7月に実家に帰った際、高瀬川の上流で実行したものなので、4ヶ月ぶりになる。

 

石拾いは基本的にひとりでする。

高瀬川での石拾いは、少し離れた上流にいる若いカップルを尻目に、ひとりサンダルを脱ぎ、靴下を脱ぎ、ジーパンの裾を捲り上げて、じゃぶじゃぶ川に入ってやった。7月の京都だったけれど、上流は涼しくて、緑は青々とし、水は豊かで冷たくて、足をずっと浸していると、足先が冷たくなってしまうほどだった。大雨の次の日ぐらいだったので水量が多く、あまり深いところには近寄らないようにしながら、合計で1時間くらい、うきうきしながら石を拾った。足に感じる水が芯から冷たくて、それに静かにはしゃいでもいた。考えてみれば、川に入るのなんていつぶりだったんだろうか。

普段はそういう風にひとりで石拾いをしているのだが、今回はグループでの石拾いだった。ひとりでなくて誰かとするにしても、今までのMAX人数が2人(私含む)でどちらもかなり近しい友人とだったので、4人(初対面の方を含む)でする石拾いってどんな感じなんだろう?と漠然と思っていた。

 

けれど、細かな違いこそあれ、石拾いは石拾いですね〜(にこにこ)。

海岸に着いたら、昼ごはんもそこそこに、海岸のそこここに散って、思い思いの姿勢で石を拾う。各々距離があるので、会話は一切せずに、ひとりでいい感じの石を探す。たまたまお互いが近くに来たときに「いい石ありました?」「こんなの拾いました!」「お、いいですね〜」とコメントし合う、という何とも穏やかな時間…。 

自分が(これはいい石!)と思ったものを「お、いいね〜」と言われるのって、やっぱりうれしいですね。お互いに「いいですね〜」「いいですね〜」「お!これいいね」「いいですよね!!!!!(うれしいので勢いがすごい)」という会話をひたすらしながら、多分合計3時間くらい石拾いした。楽しかったです。

石拾いもさることながら、視界の開けた日の当たる場所に、久しぶりに長時間滞在したのでゆる〜っとした気持ちになった。海が初めて視界に入ったときの「海だ!!!!!」って気持ちは何回だって体験したい。海だ!!!!!

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帰りには高速のサービスエリアに寄って、静岡のご当地珍味「カツオのへそ」も食べられたし、静岡駅ではさわやかのげんこつハンバーグも食べたし、かなり完璧な一日でした。朝早い時間に起きて車に乗るのも久しぶりで、感覚としては完全に「遠足」だった。大人になってからする遠足楽しい〜。また遠足行きたいなあ。

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と、ここまでが記録の意味が強い日記で、ここからは各々散らばって石拾いをしているときに、ひとりで石を探しながらぼんやりと考えていたことです。こっちの方がメインで書きたかったことかもしれない。

私たちは、いい石を探して海岸をうろつく訳だけれど、実際にはほとんどの石とは出会えていないというか、ほとんどの石のことを見逃しているんだと思う。海岸には石が無数に(本当に無数に)転がっていて、だから、私たちはどうしたってその石の全てを見ることができない。無数に転がる石の中で、私たちの視界に入る石の数なんてたかが知れている。しかも、例え視界に入ったとしても、いろんな要素が、石が私たちの目に留まることを阻む。

例えば、友人に近寄るために一歩踏み出したスニーカーの下に、えも言えぬ色の石があったかもしれない、友人から声をかけられ、ふいと視線を逸らしたまさにその場所に、おもしろい線の入り方をした石があったかもしれない、ビニールシートを敷いたその下に、まん丸くてすべすべの石があったかもしれない、立っているのに疲れて腰を下ろしたお尻の下に、どこまでも透き通った石があったかも知れない。

きっと私は多くの石を見逃しているだろう。だからこそ、自分がいいと思う石を見つけられたときにはとてもうれしくなる。無数に転がっている石の中で、非常に限られた出会いの中で、その石と私が結びつけられる確率はいかばかりか。

ロマンチック過ぎて安易に使うのが憚られる言葉だけれど、やはり「運命」という単語が頭をちらつく。

 

石拾いがすきだと言うと「何が楽しいの?」「拾ってどうするの?」という反応が返ってくることがほとんどだけれど、私はやっぱり石拾いっていいな〜と思った。

だって、「絶対にそこにしかないものを手にしに行くこと」には絶対に価値があるだろう。同じ石はひとつだってない。

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